甲状腺疾患

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甲状腺疾患

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  • 甲状腺は首の前にある小さな臓器で、体の代謝(エネルギーを使うスピード)を調整するホルモンをつくっています。
    このホルモンが 多すぎる/少なすぎる 状態になると、全身のさまざまな不調が現れます。
    代表的なものが

    • 橋本病(甲状腺機能低下症)
    • バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

    の2つです。
    どちらも症状が「疲れやすい・体調が悪い・気分が乗らない」など、他の病気やストレスと区別しにくく、気づかれにくいのが特徴です。
    少しでも心当たりがあれば、血液検査で簡単に確認できますので、早めにご相談ください。

下記のような症状がある場合はご相談ください

  • 以前より疲れやすい・だるい
  • 、息切れがする
  • 体重が急に増えた/減った
  • 手の震え・汗が多い
  • 眠りが浅い・イライラしやすい
  • 便秘/下痢が続く
  • 首のはれ、喉の違和感
  • 月経不順
  • 抜け毛が増えた

こうした症状は甲状腺ホルモンの異常で起こることがあります。
気になる症状が続く場合は一度検査されることをおすすめします。

橋本病(甲状腺機能低下症)

橋本病は、自己免疫の異常によって体が誤って自分の甲状腺を攻撃してしまう病気です。この攻撃が続くことで甲状腺の働きが弱まり、甲状腺ホルモンが十分に作られなくなる(甲状腺機能低下症)状態を引き起こします。
甲状腺ホルモンは、体温調整・心臓の働き・代謝・精神の安定など、体のあらゆる機能に関わっています。
そのためホルモンが少なくなると、体全体のスピードが落ちたような状態になり、疲れやすさや体重増加、むくみ、寒がりなど、多彩な症状として表れます。
橋本病は特に女性に多く、日本でも非常によくみられる甲状腺疾患です。
発症のピークは40〜60代ですが、若い年代でも起こり得ます。家族に甲状腺疾患がある方、アレルギーや自己免疫疾患を持つ方では、発症しやすい傾向があります。
病気そのものはゆっくり進行するため、「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごされやすいことが特徴です。
しかし、適切に診断して治療を行うことで、症状は大きく改善し、普段どおりの生活を取り戻すことができます。

主な症状

  • 動悸・息切れ
  • 体重減少(食べているのに痩せる)
  • 手の震え
  • 多汗
  • イライラしやすい
  • 眠れない
  • 首の腫れ(甲状腺のはれ)
  • 眼球が出てくる(眼球突出)

当院での治療

橋本病では、甲状腺がゆっくりと弱っていくことでホルモンが足りなくなる「甲状腺機能低下症」を起こすことがあります。治療は、この不足したホルモンを補うために、甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)を服用して正常なホルモン量に近づけることが基本となります。薬を使う量は一人ひとり異なり、血液検査でホルモン値を確認しながら慎重に調整していきます。

橋本病そのものを治す薬はありませんが、適切にホルモンを補えば、だるさ・むくみ・体重増加・寒がりといった症状は改善し、日常生活も普段通りに送れるようになります。また、治療を始めるべきかどうかは症状の程度や生活への影響、検査値のバランスを総合的に判断します。軽度の場合はすぐに薬を使わず、経過を観察しながら必要なタイミングで治療に移ることもあります。

橋本病は長く付き合うことの多い病気ですが、過度に心配する必要はありません。当院では定期的なフォローと丁寧な診察で、患者さんが安心して生活できるよう支えていきます。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

バセドウ病は、甲状腺が過剰に働くことで甲状腺ホルモンが必要以上に分泌される「甲状腺機能亢進症」の代表的な疾患です。
自己免疫の異常によって甲状腺が刺激され、動悸、体重減少、手の震え、発汗過多、イライラ、疲労感などが現れます。
治療が遅れると、心房細動や心不全といった心臓への負担につながる場合もあります。
治療は抗甲状腺薬による薬物療法が基本ですが、症状や再発状況に応じて放射性ヨード治療や手術を検討します。早期発見・適切な治療により、ほとんどの方が日常生活を問題なく送ることができます。

主な症状

  • 動悸・息切れ
  • 手の震え
  • 体重が減る
  • 暑がり・発汗が増える
  • 疲れやすい
  • 眠りが浅い
  • イライラしやすい
  • 甲状腺の腫れ(首の腫れ)
  • 眼球の突出(目が飛び出したように見えることも)

当院での治療

バセドウ病の治療には大きく分けて三つの方法があり、まず中心となるのが薬物治療です。
メチマゾール(MMI)やプロピルチオウラシル(PTU)といった抗甲状腺薬を使用し、過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを正常な範囲に戻していきます。副作用の有無を確認しながら、血液検査を定期的に行い、体調を見守りつつ治療を進めます。

薬での調整が難しい場合や、患者さんの希望・生活背景などを総合的に判断して、放射性ヨード治療を選択することもあります。
放射性のヨードを内服し、働きすぎている甲状腺の組織をおだやかに抑える治療法で、適応は慎重に検討されます。また、薬物治療や放射性ヨード治療が適さないケースでは手術を行うこともありますが、実施される頻度は多くありません。

多くの方は薬物治療で症状が落ち着き、日常生活を問題なく送れるようになります。
治療の初期には、動悸や手のふるえなどのつらい症状を和らげるために、必要に応じて補助的な薬を併用する場合もあります。
当院では、患者さん一人ひとりの状態や生活に合わせ、最適な治療方法を一緒に検討していきます。